中村の読書日記

読書を中心に、徒然なるままに

51冊目

51冊目。

脱出老人(2015)

 前回に引き続き、フィリピン本。

 

手に取った動機としては、もっとフィリピンのことが知りたいと思ったからだ。ところが読んでみると、もちろんフィリピンについても知ることができる(著者は10年以上もマニラに住んでいる)のだが、それ以上に「高齢者」について書かれている本。まあタイトルに老人と書いてあるからいいのだけれど。

 

今は20代後半の私。20代前半までは時間なんて無限に思えるくらいだったのだが、その段階は終わり、今はちゃんと老いて死に向かっているんだなという自覚がある。時間は有限だ。で、当然自分もおじいさんになるわけだ。だから、老いとは決して人ごとではない。若ければ若いほどに人ごとだが、平均寿命が80を超える現在では、やはり考えておくべきだ。

 

その点で、この本はうってつけである。老いとは何か、老いた後人は何を思うのか。老いた視点で今の日本を眺めた時、それは果たして安全で素晴らしい国ニッポンのままであるのか。

 

この本にはいくつもの高齢者が出てくるが、みんなフィリピンに行ったという点では一緒だ。もちろんその選択で幸せになった人もいるし、そうでない人もいる。ただ、本書を読んで、海外移住は立派な選択肢の一つだと思った。

 

確かに、引退して、つまり60を過ぎて海外暮らしというのは楽なものじゃないだろう。年をとるほど環境への適応は落ちるし、何より億劫だ。英語も勉強しないといけないし(セブ島なんかはなくてもいけるみたいだけれど)。実際に、昼間から大声でカラオケを歌う文化なので騒音が凄かったり、医療が日本ほど充実していなかったり、あるいは台風が良く来る、停電も多いなんていう問題はある。完璧なところなんてないんだ。

 

でも、フィリピン人は温かい。確かにお金のやりとりはあるが、それでも笑顔で明るく人懐こい。ここでは60を超えたおじいさんたちが青春をしている。74歳で子供を作った人までいるそうだ(それはちょっとどうなんだよ子供のことを考えろよ!って思うけれどここでは74歳で20代30代の女性と恋愛して行為に及べるのかすげえ!っていうていで)

 

結局、人はどこまでも異性を求めるし、人を求める。刺激が欲しいし、寂しいのは嫌。しかし日本では、それらを満たすのは難しい。居場所がなかったり、お金がすごく必要だったり、周りの目があったり。でも、フィリピンなら大丈夫。

 

海外で老後、個人的にはアリだと思った。まあでも、あくまで今現在の話で、自分が老いる40年後には世界がどうなっているかわからないのだが。フィリピンはこれから発展するアジアの希望の星だとも言われているし。

 

1人で孤立して生きがいのない老後を生きるなら、いっそのことフィリピンへ!