中村の読書日記

読書を中心に、徒然なるままに

58冊目

58冊目。

ぼくらの仮説が世界をつくる(2015)

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる

 

これは当たりだ。

 

宇宙兄弟ドラゴン桜、最近では大ヒットした「君たちはどう生きるか」の編集者をやっている株式会社コルクの佐渡島さんの本。youtubeザッピングしていた時に出会って、この人は面白いと思って手に取った。

 

いやあこれは面白い。あちこちに勉強になる考えが書いてあって、ちょっと飲み込むのに時間がかかる。

 

面白さ=質×親近感の公式はすげえと思った。そうだよなあ、親近感って大事だ。snsでつながっている人たちの投稿が面白いかといったらそれはまちまちだが、それでも見てしまうのは、確かに親近感かもしれない。

 

他にも、人間は基本的に変わらないので、欲望の本質を掴むことが大事ってのも納得がいった。馬車の時代から自動車の時代へ私たちは移行したわけだけれど、その過渡期にはいろんな問題があったはずだ。それでもやっぱり移行した、それはそっちの方が便利だから。「楽に、簡単に」は人間が持っている根本の欲求の一つ。馬車の方がかっこいいとか、この業界には人がたくさんいるから失業者が溢れて大変だとか、そういうのは短期的にはあるのかもしれないが、長期的にはやはり破れていく。これは未来を見通す上で有効な手段の一つだと思う。ほら、日本も最近キャッシュレスが進んでいるでしょう。あれだって、「楽に、簡単に」だ。そうやって、世界は変化していく。

 

ああ、宇宙人視点ってのも面白かった。今アマゾンゴーとかなんとかっていう店があって、そこではレジに行かずに直接バッグにものを入れてもいいらしい。なぜなら、勝手に決済が行われるからだとか。でもこれって宇宙人からしたらそっちの方が自然なんじゃないかと。レジに行ってお金とかいうものを渡してその代価として商品をもらうってなに?みたいな。常識を捨ててまっさらな目で社会を見ると発見があると。その目を維持するために、忙しくても年に2回以上は海外にいくという。なるほどなあと。

 

先日タイ人の友人が来日したので案内をした。そしたら、デパートの店員さんに驚いていた。なぜなら、お客さんがいなくてもしっかりと姿勢を正して立ち続けているからだ。日本では普通の光景なのだが、タイのデパートではお客さんがいないとスマホを見たり座ったり、人によってはテレビゲームをやっている。確かによく考えてみれば、客がいないんだから、別に立っている必要もない気がしてくる。いや、それがおもてなしだし、実際に日本人が日本のデパートで座ってたらイラっとくるだろうと言われるとそうなのかもしれないが、しかし時間は有限で重要な資源なのだから、スタッフさんも隙間にスマホをいじってニュースを読んだり人とチャットしたりしてもいいのではないか、そんなことも思ったりした。海外に行くというのは確かに視点を変えるということでいうと有効な手段だと私も思う。

 

ドミノの1枚目を倒せ、などまだまだ面白かったことはあるのだが、そろそろ疲れてきたので。発見が随所にある素晴らしい本だった。旅前に読了できてよかった。宇宙人視点でフィリピンを見てこようと思う。